WS(流し)の目的と効果
久々にランニング論的なお話。
てつさん(id:tetsu-san)の記事や、
ぱんださん(id:runpanda)の記事にもあるように、
意外とWS(ウインドスプリント、流しとも言う)の目的や効果っていうのは知られていない気がしたので、私見ではあるものの少々書いておきます。
・そもそもWSとは何?
前述の通りウインドスプリント(流し)のことで、全力疾走の5割から7割くらいの力で走ることを指します。おそらく中学高校時代に運動部だった人は"流し"の方に聞き覚えが有り、マラソン本から入った人はWSの方が分かりやすいかと思います。中身はどちらも一緒。この記事ではWSで統一します。
・WSを行う目的と効果
なぜ練習メニューとしてWSを行う必要があるのか? jogやペーランだけでは駄目なのか?疑問に思うことがあるかもしれません。
WSを行う目的として、
・ある程度スピードを出すことによる筋肉・心肺への刺激
・大きなフォームで走ることによるランニングエコノミーの改善
上記2つが大きな目的になるかと思います。
それぞれについて詳しく書くと、
・ある程度スピードを出すことによる筋肉・心肺への刺激
jogやペーランなどの低・中強度の練習では得られないスピードの負荷を掛けることによって、スピード(スプリント)能力の向上を図る。坂道ダッシュやインターバルは高強度なので、そういった練習に耐えられる脚づくりにも。
また、ランニングは基本的に有酸素運動ですが、短い距離のWSを行う事によって無酸素的な刺激を体に与えることで筋肉・心肺能力の向上が狙えます。
長い距離を早く走るためには 遅筋の働きだけでは不十分で、速筋の力も合わせて使う必要があるため、短い距離でもスピードの刺激を入れることが重要。
平たくいうと、jogやペーランでは鍛えきれないスピード能力が鍛えられます。
・大きなフォームで走ることによるランニングエコノミーの改善
ある意味こちらがWSの目的のメインかも。
jogなどは小さい歩幅・ゆっくりしたピッチで走ることになりますが、WSはスピードを出すために大きい歩幅・素早いピッチで走ることになります。
長い距離を一定ペースで走り切るには、ランニングエコノミーと呼ばれる"走りの効率"を上げる必要があり、そのためにはjogの小さい動きだけではなく、WSでの大きく早い動きを交えて改善していくことが必要になります。
走る速度は、歩幅(ストライド)×ピッチで決まるので、大きく早い動きが必要になると。
・どうやってWSを練習に取り入れるか
個人差があると思うので、私の例になりますが…。
練習後に3本から5本程度(その日の練習負荷により調整)。距離は100~150 m程度。
WSの間は緩いjogでつなぎます。
・3本の場合
1本目:バウンディング気味に体のバネを感じながら。(バウンディングって何?って方は下記動画を参照下さい)
※バウンディングも是非オススメしたい練習ですが、ここで詳細は割愛。興味の有る方は検索を!
2本目:6割くらいの力で脚の回転・大きなフォームを意識しながら。
3本目:7割くらいの力で2本目に意識したフォームの延長で。(意識し過ぎない)
・5本の場合
1本目:3本の場合と同じ。
2本目:30 m程バウンディング気味に行ってから、残りの距離を6割程度で。
3本目:6割くらいの力で脚の回転・大きなフォームを意識しながら。
4本目:7割くらいの力で3本目に意識したフォームの延長で。(意識し過ぎない)
5本目:5割くらいの力で4本目で直したいところの修正をしながら。
あんまり慣れていないって人は、スピードを落として丁寧に1本1本走ると良いかと。慣れてきたら、個人の鍛えたい項目によって色々とアレンジするのが良いかと思います。
小さいころの足の早い遅いは、走る時の重心移動や体の使い方の巧拙などが大きな理由だと思うのですが、大人になってもそれはある程度共通していると思います。
その中でWSっていうのは、体に早い動きを覚えさせるのに有効な練習の一つだと思っています。皆さんもLet's try!!