北九州市民のランニング備忘録

仙台から始まり東京を経由して九州に至った大学教員がランニングについて書くブログ。目指すはグランドスラム! (残り:サブスリー)

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レース当週のテーパリング論

とりあえず出張の準備が一息ついたところで、ブログを巡回しているとこんな記事が。

kanayoga.hatenadiary.com

確かにねー。正直答えのない話だと思うんだけど、理論と経験則から語ってみる。

 

・体力回復の理論モデル -超回復論とフィットネス-疲労理論-

恐らく運動をしている人もしていない人も"超回復"という言葉は聞き覚えがあると思います。

超回復でググってみると、こういうグラフが沢山出てきます。

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グラフの縦軸は体力レベル。横軸は時間。

運動に応じて体力は減少するものの、その後運動前の体力を少し上回った状態になること。これを"超回復"と呼びます。

なので、この超回復のタイミングを見計らって次の運動をすることで、徐々に体力レベルを引き上げていける!というのが超回復理論です。

 

非常にシンプルで分かりやすいが故に広く浸透している理論ですが、実際にこのモデルは運動によるグリコーゲン(活動エネルギーの元)の枯渇と回復をベースに理論立てられているため、複雑な人体内の生理反応を表現出来ているか?というと、必ずしも説明し切れているとは言えません。

 

 

そこで、別の考え方としてあるのが"フィットネス-疲労理論"。

これもググってみると、超回復理論との比較のグラフがよく出てきます。

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超回復理論の場合、評価指標は体力レベルだけでした。しかし、フィットネス-疲労理論ではそこにフィットネス(技術/適応性)が加わり、2つの要素を合成したパフォーマンスレベルが指標になります。

練習をすることで、体力レベルは減少するものの、フィットネスレベルは上昇します。

時間と共に体力は回復し、フィットネスレベルは徐々に低下するものの、基本的には体力の回復の方が早いため、全体的にパフォーマンスレベルは上昇する!というのがフィットネス-疲労理論です。

 

・レース前における回復理論の適用

2つのモデルを紹介しましたが、どちらが正しい/間違っているという議論ではなく、実際の練習に合わせてどういう考え方をすべきか?を議論します。

ここではフルマラソン当週の調整を仮定して、それぞれのモデルの適用を考えます。

 

超回復理論の場合、レース当日辺りに超回復のタイミングが来るようにレース数日前の練習で体力レベルを落としておく必要があります。我々がよく言う"刺激入れ"に近いですね。

ただ、このモデルの場合通常のポイント練習と刺激入れが同じくらいの負荷でないと超回復は起こりづらいため、理論として実践するのはちょっと困難な気がします。

要するに、全体として負荷は変えずに回数でコントロールする形。

 

その一方で、フィットネス-疲労理論の場合は、体力レベルを大きく下げずにフィットネスレベルを維持しつつ、レース当日を迎える形になります。

つまり、疲労を残さないでレーニングをしてフィットネスを維持するのが重要。

個人的な意見としては、レース数日前の刺激入れはこの形に近いと思います。

なので、全体としては負荷を落として、内容/回数でコントロールする形。

 

レーニング期間なら超回復理論の方がフィットしそうですが、レース前の調整はフィットネス-疲労理論の方が分があるんじゃないかという感じですね。

 

以上を踏まえて個人的にやっているフルマラソン前の調整方法としては、

1週前の週末:レースペースより少々早いペースで10 km

月曜~水曜日:ランオフまたは緩いjogで繋ぐ

木曜日:刺激入れ(疲労を残さない程度のペース/距離で) e.g. 閾値ペースで3 km

金曜日:ランオフ

土曜日:緩く短時間のjog(30分で軽く汗をかく程度)

日曜日:レース!!

 

走り過ぎるより、ちょっと物足りないくらいに留めておくことが肝要。

走りたい気持ちをレースに取っておくっていうのが大事かなー。レースに向けて気力と体力を蓄える1週間だと思って、割り切って過ごしましょう!!

 

以上、何かの参考になれば幸いです。